第2話 子供達の事が心配で

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第2話 子供達の事が心配で

 光太郎が一時目を覚ましてから二、三日が経ったある日。 「ママぁ、ママぁ。どこにいるの?」  夢は学校から帰り制服姿であたしを探している。 「夢、何?まだ制服を着ているの?早く着替えなさい」 「は〜い」  気の抜けた言い方で返事をした夢は、目の色を変えあたしを自室に引っ張っていった。 「何?、ママ今忙しいの。16時からの会議資料に目を、これ何?」  あたしは目を疑った。  オンラインゲーム『X』2の第二章のスタート地点である草原の映像がパソコンのモニターにうっていた。Monsterに狩られていた頃の記憶が甦って来る。 「夢、『X』2はダメだって言ったでしよ。パソコン取り上げるよ」 「ママ、待って。これは『X』2じゃないの。『XX』よ」 「ダブルX?」 「そう。『X』2の改良版よ」 「『X』2じゃないの!」 「いや、だから、違うって。『X』2のソースを見て一から作り直したの!」  あたしはキーボードを手に持ったまま話を聞いている。 「一からってどれくらい時間かけたの?」 「1日よ。その後がね、大変だった」 「貴方化け物だわ」 「化け物って。でもね、何故『X』Worldを作り出せたかわかったの」 「ふ〜ん。それで」 「ママ、怒らないで。第二章だけよ。いわゆるこのフィールドだけだったの。『X』シリーズにはこのフィールドはないもの。恐らくバージョンアップに見せかけてリンクを貼ったんじゃないかしら」 「どうしてわかったの?」 「『X』シリーズのソースを企業から借りて見てみたらなかったわ。第一章のラスボスを倒した後、別のサーバに移動する様に仕組んだのよ」 「それで」 「ママ絶対怒ってる」 「当たり前でしょ!」  夢は悲願する様に目を潤ませ、手を合わせて、あたしを見上げている。 「ママぁ、オープニングビデオだけでもみて、きっと喜ぶと思うからぁ」 「わかったわ。オープニングビデオだけよ。ゲームはダメだからね!」 「は〜い」  あたしがキーボードを返すと夢はreturn keyを押した。  パソコンのモニターに映し出された映像は綺麗でその場にいる様に錯覚する程だ。  草原や森に空が写し出され、フィールド全体が映し出されるとzoom upし一人の少女の後ろ姿が映し出された。  その少女は背中にX字型の鞘を背負っていて、大剣が2本収められている。タイトル通りXを表していた。  画面は少女の前面に周りあどけない顔の夢が映し出された。  手には大型の銃を持っていて、夢は後ろ髪を結い、横髪が首くらいまで垂れていて、風が前髪と横髪を揺らしている。  夢は目を細めると銃を構えて 「いくよぉー」  画面は夢が構えている銃の引き金部分を映し出し、引き金を引くと、銃口に光が集まり出した。物凄い量の光が集まると一気に放出され光の帯がMonsterに向かって行った。  そしてMonsterは木っ端微塵になった。  突然拍手がなり、あたしはびっくりした。 「バカじゃないの」 「はへっ」  夢は戸惑った顔であたしを見上げた。  「この銃から放出されるまでの時間が長すぎる。それに無防備だわ。それと自分で吹き込んだの?タイトルが貴方の顔にかかっているわ」  夢の目尻から涙が溢れた。 「ママひどい。ぜんぜん褒めてくれない」 「アニメでもやるつもり?戦場は遊びじゃないのよ」  シュンとしている夢に 「勇司に聞いてみようか。同じ事を言うわ。待ってなさい」  あたしは勇司の部屋の前に立ちドアを開けた。  びっくりしたみかんちゃんの目と会い、みかんちゃんは掛け布団を深く被った。  勇司を見るとみかんちゃんの上に乗っている状態であたしを睨んだ。  「貴方達何をしているの。まだ中学生よ」  勇司はベッドを降りてあたしのところまでくると「うぜぇ」と言いドアを強く締め鍵をかけた。 「はぁ」  あたしはため息を付き、夢の部屋に目を向けて、「はぁ」と立て続けにため息を吐いた。 「あたし育て方間違えたのかも」  勇司はさておき、夢が作ったと言う『XX』をどうすべきか迷い電話をかけた。
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