第6話 美幸さんが行方不明に!

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第6話 美幸さんが行方不明に!

 あれから光太郎は毎日早く帰ってきた。 「おかえり」 「ただいま」 「今日の学校はどうだった?」  光太郎は俯きため息を漏らした。 「夢に助かられっぱなしだ」 「まだ女の子に追いかけられているの?」 「ああ、大変だ」 「通信教育に切り替える?」 「考える」  光太郎は自室に入り着替えてきた。 『光太郎も苦しんでいる。ああ、あたしなんてバカなんだろう。自分勝手だわ』  あたしはキッチンで料理をしながら光太郎に聞いてみた。 「光太郎。入学式の夜に話した事覚えている?」 「約束は破ってないよ」 「うんわかってる」  光太郎はキッチンに来てあたしの手を取り頭を撫でてくれている。上目遣いで光太郎の眼を見つめた。  あたしの背の高さは光太郎に追いつきつつある。後もう少しで上目遣いにならずに真っ直ぐ光太郎に目を合わせられるだろう。光太郎はあたしと目線を合わせて言った。 「俺の事は心配してしなくていい。夢や勇司の事を考えて欲しい」 「でも、折角の高校生生活なんだから楽しまないと。後からでは戻れないのよ」 「弓も同じだろ。弓が辛い時、苦しんでいる時、おれは側にいてやれなかった。俺より何倍も辛かっただろうに、俺は何もしてやれなかった。俺、決めたよ。通信教育にする。会社の事も覚えて行かないと弓が楽になれない」 「光太郎、もっと良く考えて欲しいの。約束は撤廃するわ」 「どうして?俺は守るつもりだし、さっきも言ったけど、通学は辞める」 「光太郎」  結局あたしは光太郎を縛り付けているんだ。美幸さんに言われた事守れていないなぁ  今日は二人で夕食を作った。光太郎は美味しいと言ってくれている。 「それにしても夢遅いな」 「本当だ。もう9時よ」 「連絡してみる。「今何をしているんだ。遅くなるなら連絡よこせ」っと、あと勇司もだな」 「勇司はやめたほうが」  遅かった様だ。光太郎は苦笑いをしている。 「あははは。勇司にはうぜぇと言われたよ。父親としての威厳もないな」 「あの子は反抗期だから仕方ないわ」  プルル、プルル  珍しく自宅の電話が鳴った。 「もしもし」 「ああ、ママ。遅くなってごめん。放課後、美幸さんとばったり会って、今美幸さんの自宅なの」 「えっと意味がわからないんだけど。そうならそうと早く連絡できなかったの?」  「うん。そうなんだけど」  煮えきれない夢の話し方にあたしと光太郎は美幸さんの自宅に行く事にした。 「美幸さんの自宅はここね」 「弓、知らないのか」 「高校卒業してから会っていないから」  あたしと光太郎は美幸さんの自宅のチャイムを押し、夢に出迎えてもらった。  あたしと光太郎は美幸さんの自宅に上がり、夢、勇司、みかんちゃんそして美幸さんの赤ちゃんとリビングのテーブルを囲んで話している。  夢の説明ではゲーム中に美幸さんが突然姿を消したらしい。それで美幸さんの赤ちゃんを三人で見ていたそうだ。 「勇司、みかんちゃんはここでなにをしているの?」 「姉貴からヘルプが来たからここに来たんだけど」 「勇司、夢も連絡はこまめにしないとダメだぞ。赤ちゃんの世話はママが得意だし。ゲームならパパだってできるんだぞ。もっとママやパパを頼ってくれないと」 「親父うぜぇ」  あたしと光太郎は不快なため息を吐いた。 「それにしても美幸さんどこに行っちゃったのかしら」
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