第7話 悲劇の再発

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第7話 悲劇の再発

 美幸さんの旦那さんと連絡が取れ、出張中のためすぐには帰宅できないとの事。赤ちゃん「卯月(うずき)」を当分預かって欲しいとの事。  パソコンとゲーム機を借りる事を了承してもらい、みかんちゃんを送り届け、自宅に着いたのは翌日だった。 「あ〜眠い」 「腹減った」  夢と勇司に簡単なご飯を作り、書斎で調査をしている光太郎に夜食を作った。 「どうわかりそう?」 「うん。『X』シリーズに違いないが、見たことがないバージョンだなぁ」  あたしはタイトル名を見て気を失った。   「ママ、ママ」  自宅の寝室に横になっている。夢があたしの手を握り涙を浮かべ、横に勇司が座り、光太郎が反対側であたしの手を握っている。 『あの時と同じ?』 「ママ大丈夫?パパの書斎で突然倒れたのよ」 「弓大丈夫なのか?」 「今何時、午前2時よ」  勇司は泣きそうな顔をしている。 「夢にもあのタイトル見てもらった。本人は身に覚えがないらしい」 「どう言う事なの?」 「XXは裕也おじさんに預けたからその後は知らないわ」 「そうわかったわ。みんな寝ましょう。明日調査しましょう」  それぞれの想いはあるだろうが、こんな時間ではどうする事も出来ず、あたしは睡眠薬を飲み再び眠った。  あたしは夢を見ていた。 『光太郎、一緒に現世に帰ろう』 『ダメだ。あの降ってくる人達がいなくなるまで帰らない』 『どうして。あたしもう戦えない』 『弓は戻れ。夢と勇司を頼む』 『光太郎、待って、待ってよぅ』  はぁ、はぁ。 「ゆめ?夢なの」  あたしは光太郎の寝室を見に行ったが不在だった。執務室の明かりがついていたので、部屋を覗くと光太郎はじっとパソコンの画面を見つめていた。 「光太郎。寝ていないの?」 「ああ、弓起きたのか。うるさかった?」 「ううん違うの。悪夢を見たの。それで起きて」 「弓!見るな」 「えっ」  光太郎はパソコンのディスプレイの電源を落としてあたしを見た。 「どうしたの?」 「また倒れるかと思って」  あたしにはわからなかったが、XXがらみだとか想像できた。 「ゆっくり順を追って説明する」  朝7時。  あたしは光太郎から現在の状況と推測だが経緯を聞かせてくれた。  あたしは各役員にメッセージを送った。 『7時半から緊急役員会議を開催します』  結局、全員集まったのは8時だった。各役員に美幸さんが失踪した事、誰かの手によって改良されたXXがネットで出回っている事を報告した。  そして、推測に過ぎないが、かつての『X』Worldが存在していて、美幸さんがそこにいるのではないかと光太郎が説明した。  緊急事項として、 New Worldの閉鎖、チケットの払い戻しを行う事が決定した。  木城役員を問い詰めXXを改良した犯人を洗い出した。  そして『X』Worldの全貌を思い知ることになった。
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