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この車は目立ちやすく、振り返って見られることも多いが、コンビニでの待ち合わせでは余計周りからの視線を集めていた。
しかし、車ではなく、愛美さんを見ている男も多い気がする。
僕は早く愛美さんを車に乗せ、出発しようと思ったが、愛美さんが
なかなかシートベルトを引けずにいた。
くっ、いちいちかわいいな。
とっさに運転席から身を乗り出して、助手席のシートベルトを引き出してあげたが……抱きしめるような感じで近づいて、自分で窮地に追い込んでしまった。
近くで見てもかわいい愛美さんが、ギュッと目を閉じるから、思わずキスしてしまいそうになる。
ダメだ。
いきなりキスなんてしたら、この先警戒されてしまうかも。
危ない。
爽やかに、爽やかに……。
自制心を総動員して、シートベルトを締めた。
落ち着こうと、さっそく愛美さんがくれたカフェオレを飲む。
愛美さんも自分のほうじ茶を開けて飲む。
2人で一息ついてから、出発した。
車内でも愛美さんとの会話が楽しい。
僕のことを『すごくかっこよくて理想です』と言ってくれた。
嬉しすぎて、顔のにやけが止められない。
こんなことを言ってくれるなんて、愛美さん、ちょっとは僕のことを好きになってくれているのかな?
今日、プロポーズしたらどんな返事をくれるだろう。
愛美さんに似合いそうな繊細なデザインのリングをバッグに忍ばせて、僕は夜にプロポーズをしようと思っている。
糸山旅館での夕食で、デザートと一緒に頼んだ花束を持ってきてもらい、婚約指輪を愛美さんに差し出す。
そして、『僕と結婚してください』
よし、完璧だ。
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