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ど、どうなんだろう?
付き合っている人……がいたら、愛美さんなら最初にきちんと言うかもしれない。
だけど、好きな人がいて思っているだけなら、自分を抑えてしまうだろう。
この数日で、愛美さんのまっすぐで優しい性格がわかってきた僕は、緊張しながら愛美さんの答えを待った。
「いえ……、いません」
愛美さんがこう言った瞬間、僕は思わず愛美さんの手を取って喜びをかみしめる。
僕にも恋人の有無を聞いてきた女将に、全力で否定。
そして愛美さんも安心できるように、一言付け加える。
「僕は、絶対浮気もしないし、愛美さんのことを一途に愛していきます」
ちょっと照れるけど、僕の思いが伝わるかな?
だけど、なんとなく愛美さんが訝しい顔をしたのは、なんでだろう?
自然と愛美さんから手を離され、ちょっとショックを受けながら、女将が話すことを聞いていた。
泣きながら話す女将に、徐々に涙をあふれさせる愛美さん。
僕が差し出したハンカチを、「やっぱり使えません」と返されて、また心にダメージをうける僕。
え、ハンカチ、汚かったかな……。
何とか泣いている愛美さんを慰めたくて、背中に触れ、ゆっくりと撫でた。
涙を拭いて小さく「ありがとうございます」と笑った愛美さんに、また僕はキュンとなる。
あぁ、やっぱりかわいい。
愛美さんの笑顔で、心のダメージがぐんぐん回復した。
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