12-5(大樹 編) 心のダメージが回復

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 ど、どうなんだろう?  付き合っている人……がいたら、愛美(あいみ)さんなら最初にきちんと言うかもしれない。  だけど、好きな人がいて思っているだけなら、自分を抑えてしまうだろう。  この数日で、愛美さんのまっすぐで優しい性格がわかってきた僕は、緊張しながら愛美さんの答えを待った。 「いえ……、いません」  愛美さんがこう言った瞬間、僕は思わず愛美さんの手を取って喜びをかみしめる。  僕にも恋人の有無を聞いてきた女将に、全力で否定。  そして愛美さんも安心できるように、一言付け加える。 「僕は、絶対浮気もしないし、愛美さんのことを一途に愛していきます」  ちょっと照れるけど、僕の思いが伝わるかな?  だけど、なんとなく愛美さんが(いぶか)しい顔をしたのは、なんでだろう?  自然と愛美さんから手を離され、ちょっとショックを受けながら、女将が話すことを聞いていた。  泣きながら話す女将に、徐々に涙をあふれさせる愛美さん。  僕が差し出したハンカチを、「やっぱり使えません」と返されて、また心にダメージをうける僕。  え、ハンカチ、汚かったかな……。  何とか泣いている愛美さんを慰めたくて、背中に触れ、ゆっくりと撫でた。    涙を拭いて小さく「ありがとうございます」と笑った愛美さんに、また僕はキュンとなる。  あぁ、やっぱりかわいい。  愛美さんの笑顔で、心のダメージがぐんぐん回復した。
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