12-6(大樹 編) 穏やかなデート

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 嫁・(しゅうとめ)問題で悩んだという女将(おかみ)から、一つ助言を受ける。    僕の両親と愛美(あいみ)さんの関係がうまくいくには、僕が重要らしい。  愛美さんが僕の両親から嫌われないように調整し、また、愛美さんにも僕の両親と仲良くやっていけるように取り持つのが『夫』の役目なんだとか。  愛美さんが嫌われるなんてことはないだろうが、僕の両親の方が倦厭(けんえん)(※あきて嫌になること)されないかが心配だ。  特に母は、余計なことをしゃべりすぎないといいんだが。  母屋(おもや)で、長く話していたため、もう旅館の部屋の準備が出来ている時間帯になった。  愛美さんと話しあい、旅館の外を散策することにした。  こういうのんびりしたデートもいいな。  湖沿いを愛美さんと話しながら、ゆっくりと歩く。  普段、こんなに穏やかな休みを過ごすことはない。  少ない休みの日も、電話がかかってきたり、やりかけの案件が気になったりするが、この10日ほどかなり頑張ったので、今日だけは仕事を忘れよう。  愛美さんもリラックスできているようで、両腕を挙げて、片方の肘を持ってストレッチするように大きく伸びをしている。  膝丈(ひざたけ)のワンピースが、腕を挙げると同時に更に(すそ)が短くなり、愛美さんの真っすぐで白い太ももがまぶしい。    かわいいと思ってたけど、エロいな。この服。  最高。  僕は、また顔つきだけはまじめなふりをして、愛美さんのきれいな脚を後ろから眺めていたが、いいことを思いついた。    女将が『デート』って言うから、それらしくしないとな。  僕が手をつなぐと、真っ赤な顔をした愛美さんが言った。 「あの、私、デート初心者……実は初めてなんです」  えっ? ホント?
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