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古い旅館と言っても、明治時代とか大正時代みたいなイメージの、丁寧に手入れされたロマンチックな内装。
襖の開いた先には、明るい8畳間と6畳間の2部屋がつながっている。
富士山が見える方と、湖が見える両側に窓があり、レトロな窓枠はきれいな景色を映していて、それだけで絵になりそうだ。
最初に幸代さんが言っていた露天風呂は、湖の方向に陶器の湯船があり、きちんと外からは見えないような柵がめぐらされている。
トイレと洗面所の横に、もう一つお風呂場があり、そこにはヒノキの浴槽で、いい香りがしていた。
私のアパートのお風呂場よりも大きいお風呂が2つも……。
贅沢過ぎる。
畳敷きのお部屋の奥には、何年も磨かれてツヤツヤと光っているフローリングがあり、1階にもあったような猫足のソファーが、長いのと1人用のが2つ置いてある。
畳も青々としてきれいで、入り口から奥の8畳の方に、大きくて重厚な座卓と、座椅子にはふかふかの座布団が設置されていた。
障子の細い格子や、レトロな照明なども、とても素敵だ。
「すごいっ。 とってもいいお部屋ですね、高原さん」
振り返って高原さんを見ると、真剣な顔で、壁をコンコンと叩いたり、窓を開けてみたりしている。
「あ、ごめん。
……ついどこを改装したらいいかなって考えてた」
仲居の幸代さんにも、「失礼ですよね、すみません」と謝った。
高原さんはお休みの時も仕事のことを考えてて、すごいな。
本当に、お仕事に対してまじめなんだな。
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