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しばらく固まった状態の私を、高原さんの手がゆっくりと撫でていく。
初めは肩、それから腕や指先まですべるように触れて、また肩先まで優しく撫で上げられる。
カーディガン越しに、ソフトに触れられて、変な感じ。
気持ち悪いとか、怖いとかじゃないけど、なんだか鳥肌が立つようなゾクゾクするような感じが沸き上がってくるみたい。
そして、高原さんは私の髪をもう一方の手で優しくかきあげて、サイドの髪を耳にかけた。
髪や地肌に触れられるのも、美容師さんが触れるのとは違って色気が漂い、思わずため息のような声が出てしまいそうになる。
その声をガマンしていると、高原さんが耳のふちを指先で軽くなぞった。
「……んっ……」
自分でもびっくりするような、小さな高い声が漏れてしまう。
高原さんの顔が私の右耳に近づいたかと思うと、脳までしびれるような低い声でつぶやいた。
「かわいい」
その声を発したきれいな口で、私の耳にキスして軽く噛む。
ひぃっ。
もう、ダメ、限界っ。
これまで経験したことのない甘い雰囲気にのまれそうになり、私は恥ずかしくなって高原さんの腕を振りほどいた。
「……ダ、ダメ……です」
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