番外編-2 シンデレラの魔法使い

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樹季(いつき)がいろいろ聞いてくるの、たまに困る質問があるね」 「フフフっ。 そうなの、考えたこともないようなことを聞いてくるよね?  こないだなんて、『どうして太陽はまぶしいの?』って聞かれて、なんて答えていいか困っちゃった。  あ、紅茶でいい?」 「僕が淹れるよ」  デカフェ(※ノンカフェイン)の紅茶を入れて、リビングのテーブルに置く。  愛美(あいみ)はパソコンを閉じて、ダイニングテーブルから席を立つと、僕の隣に座った。 「お茶、ありがとう」  子どもたちが眠った後の、夫婦2人だけの時間。    お互いに忙しくても、この時間だけは大事にしてきた。 「コメントの返信終わった?」 「うん、たくさんコメント書いてもらって、すごく嬉しい」  愛美が、掃除のコツや料理の時短方法などを、動画配信するようになって1年半程が経つ。  動画内では、説明がわかりやすいと評判で、美人過ぎる主婦として人気があるようだ。  それに、送られてきたコメントの一つ一つに丁寧に返信していて、律儀なところにファンが定着しているらしい。 「あんまり、(こん)をつめすぎないようにな」 「うん、大丈夫。ありがとう」  ふわっと笑って、紅茶を飲む愛美は、30代になっても変わらず美しい。  変わらず……というより、最近は動画でも顔を出しているせいか、更にあか抜けてきれいになった気がする。    じっと愛美を見ていると、少し頬を染めて恥ずかしそうに笑った。 「なぁに? 何か顔についてる?」 「僕の奥さんは、きれいだなぁと思って」 「フフッ。 そういう大樹(だいき)も、ずっとかっこよくて、素敵」
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