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「樹季がいろいろ聞いてくるの、たまに困る質問があるね」
「フフフっ。 そうなの、考えたこともないようなことを聞いてくるよね?
こないだなんて、『どうして太陽はまぶしいの?』って聞かれて、なんて答えていいか困っちゃった。
あ、紅茶でいい?」
「僕が淹れるよ」
デカフェ(※ノンカフェイン)の紅茶を入れて、リビングのテーブルに置く。
愛美はパソコンを閉じて、ダイニングテーブルから席を立つと、僕の隣に座った。
「お茶、ありがとう」
子どもたちが眠った後の、夫婦2人だけの時間。
お互いに忙しくても、この時間だけは大事にしてきた。
「コメントの返信終わった?」
「うん、たくさんコメント書いてもらって、すごく嬉しい」
愛美が、掃除のコツや料理の時短方法などを、動画配信するようになって1年半程が経つ。
動画内では、説明がわかりやすいと評判で、美人過ぎる主婦として人気があるようだ。
それに、送られてきたコメントの一つ一つに丁寧に返信していて、律儀なところにファンが定着しているらしい。
「あんまり、根をつめすぎないようにな」
「うん、大丈夫。ありがとう」
ふわっと笑って、紅茶を飲む愛美は、30代になっても変わらず美しい。
変わらず……というより、最近は動画でも顔を出しているせいか、更にあか抜けてきれいになった気がする。
じっと愛美を見ていると、少し頬を染めて恥ずかしそうに笑った。
「なぁに? 何か顔についてる?」
「僕の奥さんは、きれいだなぁと思って」
「フフッ。 そういう大樹も、ずっとかっこよくて、素敵」
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