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部屋は広く、モノトーンで揃えてあった。
いかにも夜城課長らしい。
「なんか飲むか」
とか言いつつも、冷蔵庫を開けた課長は日本酒の瓶とグラスを持ってきた。
「じゃあ……いただきます」
ソファーに座った彼の隣に、少しだけ遅れて腰を下ろす。
私が持ったグラスへ、課長は日本酒を注いだ。
「僕はさ。
美卯からネクタイをもらって、めちゃくちゃ嬉しかったんだ」
「え?」
グラスの酒を、課長が一気に飲み干す。
ネクタイくらいで、そんなに?
そういえば、今日は自慢して回っていた、って。
「ネクタイを贈る意味って、あなたに首ったけ、だから」
すーっと、とても大事そうに課長の手がネクタイを滑っていく。
ただ単に、ビジネスマンウケがよく、いくつあっても邪魔にならないもの、でネクタイを選んだ。
そんな意味があるなんて思いもしない。
「私はそんなこと、知らなくて」
「うん?
わかってるよ、それくらい。
そうだったらいいって僕の願望。
それでも美卯は、僕のことが好きだって」
課長の手が、私から眼鏡を外す。
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