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その格好で寝室を出たら、課長が立っていた。
「うわっ、びっくりした。
もう起きたんだ?」
「……おはよう、ござい、……ます」
笑いながら彼が、私の額に口付けを落とす。
「それにしてもなんて格好してんの?」
「あー……」
だってまだ、あたまは半分くらいしか働いていない。
なのにまともな格好なんて無理。
「もしかして、朝、弱いの?」
黙ってこくんと、頷いた。
「まあいいや、おいで。
コーヒー、淹れてあげるから」
子供のように手を引かれ、リビングへ移動する。
ソファーに座らされてこてんと横へ倒れたら、また眠気が襲ってきた……。
「はい」
うつらうつらとしていたら鼻先をいい匂いが掠め、目を開ける。
課長が、マグカップを差し出していた。
「目が覚めるよ」
「……ありがとう、ござい、……ます」
受け取ったカップに口を付ける。
課長も隣に座り、カップを口へ運んだ。
「……美味しい」
「そう?
普通の豆だけど」
課長は緩く、ふふっ、なんて笑っている。
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