ネクタイのお礼は夜明けのコーヒー

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「えっ、あっ、その。 教えてくださって、ありがとう、ゴザイマス」 ダッシュで逃げ出したら、夜城課長とぶつかった。 「なに、隠してるの?」 「なにって、キスマーク……!」 あなたが、こんなもの付けなければ、こんなに恥ずかしい思いをしないで済んだのに……! 「ああ。 わざわざ、目立つところに付けたの。 美卯は僕の女だって皆に教えないといけないだろ?」 「……」 ニヤリ、と課長の右の口端が持ち上がる。 ええ、そうですね。 社内はその噂で持ちきりですよ。 一緒に出社してきて、さらに私が着ているのは課長の服で。 「美卯は絶対に、誰にも渡さないからな」 人前だというのに、ちゅっと軽く、課長の唇が私の唇に触れる。 もしかして私、とんでもなく独占欲の強い人に捕まった? なんか、先行きがちょっぴり不安です……。 【終】
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