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「ただいま〜」
「パパが帰ってきた!花音がパパに話すからね」
父親がリビングに来て、猫をみつける。
「どうしたんだ?この猫は」
「パパ、今日ね、ママと買い物の帰り道で
この子が、花音に『助けて〜』って
呼んでいたの、ママは最初わからなかったんだけど、花音がこの子を見つけて、そしたら
けがしていて、すぐにママと病院に行ったのね
そこで先生に包帯を巻いてもらったの、
それでね、病院の先生がこの子がうちの子に
なった時に治療代をもらうからって言ってくれたのよ、だからね、この子がうちの子にならないと
先生が次の時見てくれないの、
お願い!パパ!この子うちの子にして
いいでしょ」
娘が必死に父親に懇願していた。
父親が、母親の顔を見た。母親が
「花音、良く全部言えたね、えらいね。
パパもわかってくれたみたいよ」
「花音!キチンとお世話出来るのか?」
「うん、私がこの子の面倒を見る!」
「そうか、それじゃしっかりとお世話するんだぞ」
「パパ!ありがと!花音ね、この子の名前
もう決めたんだ!」
「あら?なんて言う名前にしたの?」
「ポンズ!」
父親も母親も声を揃えて
「ポン酢?」
名前を聞いた途端ふたりは大笑いしてしまった
「何で、ポン酢なんだ?」
「だって、花音『ポン酢』好きだもん」
「そうか、君の名は今日から『ポン酢』だそうだ
いい名前だな」
父親が、猫の頭を撫でながら話しかけていた。
そしてどこからか持ってきた段ボール箱を半分に切って猫の寝床を作った。
「さあ、出来たぞ!これが取り敢えず「ポンズ」の寝床だ」
そう言って「ポンズ」を優しく抱きかかえ
寝床に入れた。
「パパ、ありがとう」
「今度のパパのお休みの時に「ポンズ」の
お家を買いに行こうな」
「うん、ありがとう!パパ」
そうして、ポンズは飼い猫になった。
だが、家族は知らない。この猫が何百年も
生きてきた猫だと言う事を。
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週末、父親の休みの日に猫の寝床を買いに行く
ペットショップで娘が見つけた物、それは
新潟県や長野県で主に作られている
『猫ちぐら(つぐら)』と言う物だった。
父親も娘にねだられるままに、それを購入した。
その時は『猫ちぐら』を購入した事で猫の
企みを阻止できたと言う事を知る筈もなかった。
大きな『ちぐら』を抱えて娘が家に入る。
猫は娘が抱えているものに見覚えがあった。
それは、今から数百年前のこと。
その猫が今の新潟、当時は『越後国』と言われていた頃、猫はその『越後国』に居たのであった。
その猫は昔から自分の気に入った家に棲みつき
棲んでいて、気に入らなければその家の者を
呪い殺していた化け猫だったのだ、逆にその家を
気に入れば、その家の者達が幸せに暮らせるだけの富を授けていた。
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