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38、誕生日のお返し
アレックスの誕生日パーティの二日後、あおいが家で錬成物を作っていると誰かやって来て玄関をノックした。
「おはようございます、あおい様」
「はーい」
あおいが慌てて玄関を開けると、そこにはクレイグが立っていた。
「クレイグ様、こんな早い時間に一体どうしたんですか?」
「この時間なら、あおい様もまだ家に居ると思いまして。アレックス様から、あおい様にプレゼントのお返しを持っていくよう言われましたので」
あおいは緊張した。
「え、お返しなんて良いのに。でも、一体何を下さるんですか?」
「こちらです」
クレイグは少し渋い表情で、胸元から一枚のカードを取り出した。
「こちらは王宮の入館証です。これがあれば何時でも王宮に入れます」
「え!? そんなもの貰っちゃって良いんですか!?」
あおいはカードを受け取ると、日に当てて見た。七色に光っていて綺麗だった。
「私はまだ早いと申し上げたのですが、アレックス様がどうしてもおっしゃるので……」
クレイグの眉間に皺が寄っている。あおいはアレックスに特別扱いされたようで嬉しかったが、クレイグの手前冷静を装った。
「ありがとうございます」
「くれぐれも無くしたり落としたりされませんようご注意下さい」
「なんか、特別扱いされたみたいで嬉しいですね」
「あ、ロイドさんとローラさんも持っていますよ」
「え!? 聞いてないですよ!?」
あおいは自分だけじゃ無いと知って、落胆した。
「あおい様、アレックス様は今、誕生日のプレゼントのお返しで忙しく、しばらく城からは出られません」
「そうですか。だったら、差し入れを持って私が王宮に出向きますね」
「……ご自由に。それでは私は城に戻ります」
クレイグは城に戻っていった。
「よし、素早さアップキャンディと、疲れの取れる薬草クレープを持ってアレックス様に会いに行こう!」
あおいは弾む足取りで、ぼろ屋に入ると早速キャンディとクレープを作り始めた。
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