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40、帰宅
「酷いことを言われたわ! 年増だなんて!! 嫌になっちゃう!」
あおいはそう言って、ドレスを脱ぎ化粧を落とすと椅子に腰掛けた。
「なんなのかしら? あのメアリーって子は」
あおいはふうっと息をついてから冷蔵庫から冷たい紅茶を取り出すと、ごくごくと飲み干した。
「今日は疲れたわ。アレックス様も、もうちょっと私のことをかばってくれても良いのに」
あおいはそう言いながらも明日のためのクレープの仕込みをしたり、新しい錬金術を試したり、家の中を動き回っていた。
「おーい、あおい。居るかー?」
「はーい」
ドアを開けるとロイドが立っていた。
「こんにちは、何か用?」
「アレックス様から手紙を預かってきたんだけど」
そう言って、ロイドはあおいに手紙を渡した。
手紙を受け取ったあおいは、ロイドに訊ねた。
「お茶でも飲んでいく?」
「いや、これから森で狩りをするから今日は辞めておく」
「そっか。じゃ、気をつけてね」
あおいはロイドが去ったのを見届けてから部屋に入り、手紙を開けた。
<今日は失礼しました。メアリーは悪い子では無いのですが、王女だからと甘やかされているところがあります。子どもですから大目に見てあげて下さい。婚約というのはおままごとの約束ですから、ご心配なさらないようお願い致します。 親愛なるあおいへ アレックスより>
「アレックス様も手紙じゃ無くて会って言えば良いのに!」
あおいはまたプンプンと怒りながら、冷蔵庫を開けてプリンを食べた。
「アレックス様にあげようと思ってたけど、一人で全部食べちゃおうかしら」
リング型の大きなプリンは、一切れ切り取られてフルフルと揺れている。
「あーあ。つまんないの」
あおいはサッサと明日の用意を済ませると、手紙を持って寝室に移動してベッドに寝転がった。
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