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きっかけは高1の頃。
「那智、おれと付き合って」
1学期の終わりに幼稚園時代からの幼馴染み 安堂 喜一から告白された。
ずっと一緒に、家族のように過ごしてきた喜一からの告白は、凄く嬉しかった。
ずっと好きだった。
だけど、僕は男だし、友達のままで良いから、このまま側に居たいと思っていた。
だから、「はい」って答えた。
付き合うのは皆には秘密。
2人だけの秘密――――…。
夏休み中ずっと、友達の延長戦のように一緒に過ごしていた。
そんなある日、
夏休み中で茹だるように外は暑くて…。
僕の両親は共働きでいつものように居なくて…。
僕の部屋で喜一と課題を終えてから、2人でベッドを背にして、テーブルにノートパソコンを置いて動画を観ていた。
主人公の濃厚なキスシーンを何となく気不味くて、ドキドキしながら画面を観ていた。
「――ねぇ、キスしたことある?」
それはただ好奇心で発した言葉だった。
「ないよ。那智は?」
「僕もないよ。喜一はモテるのに意外だ。」
そう言って僕は ふふふっと笑った。
喜一はモテる。顔は勿論かっこ良い。くっきり二重に端正な顔立ち。最近身長も伸びてる。髪は艶のある少しスッキリした短髪の黒髪。部活はサッカー。勉強だってできる。男女問わず人気者で、僕と大違いだ。
そんな喜一を見ながら
「ねぇ、キスって気持ち良いのかな?」
「――那智、誘ってる?したい?なら試してみる…?」
『冗談だよ』って笑って終わらせるつもりだった。
だけど――…
喜一のいつもと違うなんとも言えない色っぽい表情に、ドキリとしながら返事をした。
「―――うん…」
喜一は艶やかに笑う。
僕と喜一の顔が近付き、喜一って睫毛長いなぁ、キレイな顔してるんだなぁって思いながら――…
二人して目線は唇にいき、段々と目を閉じていった。
最初は唇を合わせて直ぐに唇が離れていった。
そっと瞼を開けた。
喜一と目が合う。
顔が赤い。
今の自分も多分 真っ赤になっていることだろう。
はじめての感触。
唇って柔らかいんだ…って思った。
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