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響さんに対する曖昧だった気持ちが、ようやくわかって、僕はふわふわと浮かれていた。 自分の中で明らかに変化した気持ちに戸惑いは多少はあったが、好きな人と待ち合わせをし、映画を観に行く事が嬉しかった。 どことなくソワソワしながら、講義が終わり篠木と翔太と別れて、構内の待ち合わせ場所に行く。 2人は察していたようで早く行けと手を振ってくれた。 少し離れた特別講義棟の建物に入ろうとした時――――… 「あの、香坂 那智さんですか?」 突然声をかけられて、振り返るとそこに、小柄で大きな瞳が印象的な男の人が佇んでいた。 けれど、その瞳は暗く陰鬱だった。 「は い、あの、えっ と…?」 「響は止めた方がいいよ」 「……えっ…?」 意味ありげな言葉を僕に向け、 ニヤリと笑い言葉を続ける。 「自分だけが特別だと思ってる?そう思ってるなら残念。響は、ぼくとも何度もセックスしてる。だからアンタだけが特別じゃない」 「な に、言って…」 ドクンと胸がざわついた。 「それなのに、響に連絡しても素っ気ないし。会ってもくれなくなった!全部アンタのせいだ!アンタがいるから悪いんだ!響を返してよっ!」 混乱する僕に彼は一気に捲し立てた。 「何で響の家に住んでるんだよ! 響にどんな手を使ってあの家に入ったんだよ! どうせ飽きられたら終わりなんだから、さっさと出て行けよっ!」 真っ赤な顔をしながら、凄い剣幕で捲し立て、僕に掴みかかろうと距離を詰めて来る。 避けようと思っても、その剣幕に恐怖して体が動かない。 掴まれて、殴られると思ったその瞬間――――… 「触るなっ!」 僕を掴もうと伸ばされた手を、バシッと叩き落とした。 「ぅあっ……!」 僕を庇うように響さんが割って入ってきた。
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