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『ご来場 ありがとうございました。お出口に近いお客さまから――…』 映画が終わりアナウンスが流れた。観覧席から他のお客さんが次から次と席を立ち、出口に行くのを眺めていた。意外とお客さんが多かった。 「映画 意外と怖かったですね」 アクション映画なのに、ホラー感たっぷりで、僕は満足した。 隣の響さんを見ると、下を向いていた。 あれ?寝てるのかな? もしかしてつまんなかったのかな? 「あの、響さん?」 「あ…」 バツの悪い顔をして顔を手で隠してる。 「響さん…、もしかして、ホラーよりの映画 苦手でしたか?」 「……いや。……急に画面いっぱいに何かが出て来るとか、急に大きな音とか、そういうのがダメなだけ…」 響さんの弱々しい返事が返ってきた。 「言ってくれたら良かったのに」 「んー、なっちゃんが真剣に観てたし…。それに……カッコ悪いだろう?」 真っ赤な顔して項垂れながら、僕を横目で見てくる。 響さんの意外な1面が見れた事に嬉しくなる反面… 「ふふっ。イケメンなのに可愛いなんてズルい」 思わず口に出してしまった。 「こんな可愛い顔して笑って、可愛いのは、なっちゃんの方だよ?」 響さんは極上な笑顔を向けて僕を見詰めるから、視線を外せなくなった。手を絡ませ、握られ、僕の手の甲にキスをした。 誰も見てなかったよね……? 映画よりドキドキさせられた。 やっぱりズルい。
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