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そうなんだ。
あの日から1ヶ月弱、響さんとは触れてもいないし、セックスだってしてない。
寝る時だって別々の部屋で寝ている。
今日から恋人だし―――…
「なっちゃん、今日からおれたち恋人なんだよ?順番は逆になったけど、恋人になる前にしちゃったけど。記念すべき1日目なんだよ?」
優しく微笑む。
「…あ の…」
「――――どう?なっちゃん」
熱っぽく見つめてくる響さんの視線、しかも潤んだ瞳にドキリとする。
こっちは照れてドキドキが止まらないし、真っ赤になってしまうよ。
「その誘いを断るはずないじゃないですか……」
僕は下を向きながらボソッと呟いた。
チラッと見たら、響さんは満面な笑みを浮かべてから、ビールを一気に呑んだ。
それからの響さんは早かった。
「なっちゃんお腹いっぱいになったよね?帰るよ」
「え?あっ、ちょっと」
そう言ってそそくさと席を立ち、僕を立たせハンガーからコートを取り、僕に着せた。
会計をしにレジ前に立つと、後で話声が聞こえて、ふと振り向くと、僕たちと同じくらいの年齢の女性2人が後で会計を待っていた。
その1人と目が合い、その子はニッコリと笑い、上目遣いで話かけてきた。
「こんばんは。あの~、お時間あります?もし良かったら、これから私たちと一緒にカラオケ行きません?」
「私たち、これから夜中までカラオケなんです。4人であそびましょうよ?」
「…えっ…」
これは、ナンパなのかな…?
初対面なのにいきなり過ぎて面食らう。
えーと、どう答えたらいいんだろう。「ごめん」でいいのかな?
少しだけ固まってしまった。
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