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彼女たちは1人は緩いパーマをかけたロングヘア、もう一人は、ショートヘアで2人ともキレイ系な感じ。
そんな2人を相手にして、しどろもどろだった。
「ほら、なっちゃん行くよ?」
響さんは女性との会話には、一切入って来なかった。平たく言えば無視していた。
「え、あっ、待って!私たちまだ会計してない!」
ロングヘアの女性は、響さんの腕を掴み、引き留める強者だった。
「…はぁ?」
響さんは、これ見よがしに眉間にシワを寄せて、ふぅっと大きな溜め息をついて、その掴んでる手を払い除け、女性2人に向き合った。
「…だから?…何?なんで おれたちがカラオケに一緒に行く事 前提で引き留めてるの?おれたちに関係ないだろ?カラオケになんか行かないし。あんたら2人で勝手に行けばいいだろう?それに、1ミリも興味がない相手と過ごすなんて、……拷問なの?」
「「…っ!」」
2人を真顔で見る響さんは、絶対零度という表現でいいのかな?
あの、田村って人に向けてた有無を言わさずという圧力と迫力があった。
2人とも顔色悪く固まって撃沈してる。
響さんは隙をついたように振り向いて
「さ、行こうか?なっちゃん」
僕に向けられたのは、いつものキラキラした微笑みだった。
ギャップが凄い。
店の外でタクシーを拾い、自宅に着くまでの間、こっそり手を繋いでいた。
響さんは酔ったフリして僕の肩に頭を寄せてきた。
僕は幸せを噛み締めながら、響さんと繋いだ手を見ていた――…
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