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タクシーから降りて、僕たちは無言で歩く。心なしか早歩きだったかもしれない。マンションの中に入ってエレベーターに乗り、5階のボタンを押した。 玄関に入ってカギをかけてから、 ギュッと響さんが僕を抱き締めてきた。 「なっちゃんと恋人になれて嬉しい。嬉しすぎてどうしたらいいか、わからない」 「響さん……」 「さっきの女の子たちにも余裕なくて…。邪魔されたくなかったんだ。なんかおれ、カッコ悪い所ばかり見せてるよね。ごめんね? …なっちゃんは一緒にカラオケ行きたかった?」 そんな響さんが可愛いと思い、口元をほころばせてしまう。 「いろんな響さんを見れて嬉しいですよ? カラオケ、行きたくなかったから、断ってくれて良かったです」 僕は自分から響さんの頬にそっと手を伸ばし、引き寄せ、自分の唇を押し当てチュッとキスをした。 顔を離して目が合い、お互い微笑み合う。 響さんも僕の頬に手を添えて、何度も唇を押し当て、ゆっくりと舌で唇を割り、響さんの舌が絡みついてくる。 「ん…、んっ…」 響さんの腕がまた僕を抱き締めた。 「なっちゃん、お風呂で暖まろうか。暖房着けても直ぐに暖かくならないし、一緒に入ろう?」 僕は素直に頷いた。 お風呂にお湯を張りながら、シャワーを出しっぱなしにして体を温める。僕は風呂場の壁に背を預け、唇を重ね響さんの指が胸元に伸びる。 乳首を指の腹で捏ねるように弄られ、快感が広がる。 「…っ、はっ、んっ…」
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