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教授の長ったらしい講義がやっと終わり、講堂から隣に居たなっちゃんが「お先に」と言って慌てて出て行った。響さんとデートらしい。 篠木とそのまま座って下らない話をしていた。 ふと長机の下を見ると手袋が落ちていた。 「あ、この手袋ってなっちゃんのじゃねぇ?響さんから貰ったって言ってたし。今から追いかけたら間に合うかな?」 「行こうぜ!冷やかしにおれも行く」 篠木と席を立った時――― 「きゃっ!」窓側の1人の女子が悲鳴を上げた。 振り替えると、その子が窓を指さした。 「あれって香坂くんじゃない?」 講堂に居た何人かが窓の下を覗いた。勿論、おれたちも。 なっちゃんが男2人に抱えられて特別講義棟の中に入って行く。 「だけど…何?あの人たち。なっちゃんどうしたんだ?」 おれが言うと、その子が慌てたように早口で答えた。 「私、見ちゃったんだけど、香坂くんとあの人たちが擦れ違った時、香坂くんお腹を殴られたんだよ!なんか、ヤバくない?」 嫌な予感がする中で、今度は隣に居た女子が話し出す。 「えっ?ちょっと、それヤバくない?あの特別講義棟の奥の教室、ヤり部屋だって噂あるんだよ?人の出入り余りないからって。 まさかと思うけど…」 「……香坂くんなら、あり得なくはないよね…?」 ざわつく講堂。 その会話に背中がゾワリとした。 「おれ、行かなきゃ」 篠木が真っ青になりながら、走り出した。おれも後に続いて、あの特別講義棟に向かって走る。 嫌な予感が当たらないように!と願いながら――――…
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