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謎の女
原田sido
「そっち行ったぞー!!!!」
「行けぇ!!!追えぇえええーー!!!!」
俺たち新選組は、羅刹という化け物を追って走っていた。
事の成り行きは、元々千鶴の父親。綱道の悪事によるもの。変若水とかいう飲みもんを飲んだ奴は、みるみるうちに白髪に変わり、目は赤くなる。加えて人並み外れた力を発揮する。
「クソッタレが!!!」
目の前を走る羅刹に集中し、一気に斬りかかった。
だんだら模様の羽織は赤く染まり、刀を持つ手には人を斬った感触。
そうだ。こいつだって元々は人間だ。
「お前は……、よくやったよ…。」
消えていく"元仲間"を眺めながら、独りごつ。
刀の血を拭き、鞘に収める。
「酷いもんだよな…。刀だけ遺して逝くなんてよ。」
すっかり姿の見えなくなった"元仲間"の血まみれた刀を手に取り、今もこいつを殺気立って探しているであろう仲間の元へ向かった。
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