3人が本棚に入れています
本棚に追加
モフの使命
健太は親友を手に入れたか。とても、とても長かったけれど、努力した甲斐があった。
ワシは万感の思いだった。
バケルから伝授された千里眼で、健太と萌夫が抱き合う姿を見た。
おっと、仕事が残っている。
毒素の中和、エネルギーの保存、免疫細胞の調整。
バケルに人間になりたいと志願した時、とても長い修行が必要になると返答された。それでは間に合わない。
そこでワシは、まるまる一人の人間になるという選択肢は諦め、康太の『肝臓』になるという道を選んだ。
移植は無事成功。康太の肝臓はドナーの臓器とワシが化けた肝細胞とのハイブリッドになっている。もちろん生着率はほぼ100%だ。これから80年、90年、頑張っていこう。それが恩返しだ。
健太は親友を得、康太は健康を得た。
ワシはとても温かな気持ちに満たされた。
完
最初のコメントを投稿しよう!