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一通り星座を観察し終え、スポーツドリンクで喉をうるおした。
唐突に、萌夫が話を切り出す。
「前から言おうと思ってたんだけどさ、」
少し話しにくそうだ。
「何でも言えよ。俺達、親友だろ。何言われても気にしないよ」
と健太は返す。
「そっか」
萌夫はドリンクを一口飲んだ。喉がこくんと揺れる。
「俺、東京の大学に進学するんだ。しばらくお別れすると思う」
何だ。そんなことか。
健太は笑い出しそうになった。
「全然気にしないって。電話もメールもあるんだし、東京で夢叶えてこいよ」
「え、だってキミ、進学しないって聞いたから」
「そうだな。俺の弟、アメリカで臓器移植してね、ウチに金が無いんだわ。小さいころは不公平だって怒ってたけど、今は違う。安定した公務員になって、親孝行するつもり。大学出た方が上の公務員になれるとは思うんだけどさ、4年の差ってでかいよ。今度は俺が家族と弟を支える」
「そうか。健太って、偉いな」
「小学生のころから、お前に支えてもらってきたおかげだよ」
健太の本心だった。
萌夫はきょろきょろと辺りを見回す。
「別に俺、健太に恋心とか持ってはいないんだけどさ、一番の親友として、いいかな?」
両手を伸ばす。
「いいよ。当たり前じゃん」
健太は萌夫ときつくハグをした。
温かな友の体温が、夜の空気を押しのけて伝わってきた。
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