もしも、世界が亡き人に会えるシステムだったら。

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その後、私はニュースの内容を家族に伝えた。 私が言わなくても、何はわかる事。 今じゃ、SMSでも取り上げられていて、連日連夜 このニュースで持ちきりなのだから。 お爺ちゃんには、釣りに出かけてもらい。 家族で話し合いが始まった、いつお別れになるか分からない。 一度、戻ってきた幸せが又奪われた時… 私達、家族は笑顔で送り出す事ができるのか 皆んなが泣きそうな、苦しそうな顔をしながらも 「お爺ちゃんが、戻って来てからというもの。 滅茶苦茶になった家族が一つになって、 また、皆んなで笑い合える日が来たんだ。 それなら、自分達に出来る事は…お爺ちゃんを 最後まで笑顔で、その時が来ても笑顔で送り出す事じゃないだろうか」と父が皆んなに、伝え。 泣きながらも、皆んな頷き。お婆ちゃんも、 薄ら涙を浮かべながら、頷いた。 話し合った日の夜、いつお別れになるか分からないと夜ご飯はお爺ちゃんの好きな甘いケーキや、 お刺身。私達の好物の焼肉などが揃えられ、 豪勢で楽しい食事になった。 そして、その夜。 お爺ちゃんは、皆んなを外に呼び出して手持ち 花火ををしようと。外出した際に買ってきたのは 袋から取り出して封を開け、一人ずつに手渡していき、ライターで火を付けた。 「パチパチッ」と花火に火が灯り、綺麗に咲き誇る火花に目を輝かせ、幼い頃に香った…懐かしい 花火の匂い。煙で目が霞みながら暖かい気持ちになった。 最後に、線香花火をしまるでこの日が…お爺ちゃんと過ごす最後の日のように、線香花火の火が消えて、静かに幕を閉じたのだ。
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