もしも、世界が亡き人に会えるシステムだったら。

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朝、目を覚ますと何やら騒がしくしていて。 「ねー、どうしたの?」と母に声を掛ければ、 「お爺ちゃんが、何処にもいないの」と慌てる様子で探し回っていた。 皆んなが、慌てながらも探し回ってる中。 私とお婆ちゃんだけは、何故は落ち着いて居て、 家族から何でそんな落ち着いてるだ、と切羽詰まった様子で言われれば、お婆ちゃんが口を開き 「何となく、昨日でお別れかもしれないってわかっていたから。」と父や兄妹達は「何で言わなかったんだ!?」と怒鳴るように声を上げれば 「お爺ちゃんってそういう人でしょ、最後まで家族を思って。悲しいお別れより、何か思い出に残る形で終わらせたかったんだよ。」と皆んなを宥めるように、お婆ちゃんは優しく告げた。 私は、そんなお爺ちゃんの粋な性格に変わってないなぁ。なんて思いながら、窓の外からは昨日の花火。 悲しみに暮れる家族を見て、お婆ちゃんは「 お爺ちゃん、家族が大好きだから。又ひょっこり戻ってくるかもね」なんて、優しく微笑む。 そんな、お婆ちゃんの言葉に皆んな涙を流しながらも、「いつだって、大歓迎だよ」なんて笑い お爺ちゃんの思い出を胸にしまうのだった。 お爺ちゃんが、居なくなってから一週間が経つ、 やっぱりお爺ちゃんは根っからの、仕事人間で 任された仕事は全て終わっていた。 いつの間にか、戻ってきて。お別れも言わずに 消えてしまった。 あの出来事は、夢だったのではないかと時折り思う、けれど…台所に行けばお爺ちゃんの席があり 灰皿に吸い殻。お爺ちゃんの煙草が置いてある。 皆んなが泣いて居た時は、落ち着いて居た私の目には涙溜まっていた。 その時、カーテン越しから陽の光が差し込み カーテンに目をやれば。暖かな日差しに、私は お爺ちゃんが慰めてくれてるのだろうか、と 思った。 お爺ちゃんが「いつまでも、引きずらずに 前を向いて、ゆっくり力強く生きなさい」と言われてるようで。 それから、何年か経ち。私は家を出て一人暮らしをしている。 最初はホームシックになったりで大変だったけど、今は一人の時間を満喫しながら日々の生活に励んでいる。 あの、夢のような出来事は一生忘れないだろう。 夏の奇妙で優しい思い出。 こうして、今までの話を思い出として書きながら 誰が読むかも分からないけれど、また読み返したい時に形として、お爺ちゃんが戻って来た思い出を。
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