雨と傘とこいつ

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 もう一度空を見上げるも、相変わらずにざあと勢いよく水を落としている。  どうしようかなあ。ちらと肩越しに振り返る。  ここはコンビニの前だ。ビニール傘を買って来ようか。  でも、結局そのあとにビニール傘を使うことはない気がする。  そうすると勿体ないよなあ。 「……けどなぁ」  今度は己の手を見下ろす。  手にしているレジ袋はひとつだ。  つまり、温めてもらったチーズドリアと同じレジ袋に、サラダと冷え冷えのカフェラテは同居している。  これはいけない。早く帰って別居していただかなければ。  空を睨む。が、雨足が弱まる気配はない。  だが、ビニール傘を買うのは何だか勿体ない。  ならば残された道はただ一つ。  幸いに家へはそれ程遠くはないし。 「突撃あるのみ」  ぐっと手を握った水無が、水が降り落ちる世界へ飛び出そうと足を一歩踏み出した時。 「――水無?」  ひとつの声が彼女をその場に留まらせた。  反射的に振り返る。  閉まるコンビニの自動ドアを背景に、こちらを見やる男子の姿に覚えがあった。  そう、彼は中学時代に意気投合した同級生。
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