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好きなゲームの話で盛り上がり、それ以降はよく、通信してみたりと仲良くしていた。
それが高校に入学してからはすっかりと会わなくなってしまい、それなりに経つ。
理由は簡単。高校に入学して、別のクラスになったから。
クラスが違えば、たったそれだけなのに、途端に会わなくなるもんだなあと思っていた。
その、彼である。
「桐谷……?」
おそるおそる訊ねる水無に、桐谷は屈託のない笑顔を向ける。
「やっぱ水無だった。おもしろ」
「……おもしろくないし、つーか笑うなし」
「いや、無理でしょ。あんな百面相もどき」
「そんなことしてないしぃー」
いや、充分に心当たりがあった。
相変わらずだなあと肩を揺らして、くつくつと喉奥で笑う桐谷をねめつけて。
水無は誤魔化すように軽く彼の足へ蹴りを入れるフリをする。
「ちょ、やめろ。濡れるじゃん」
案の定桐谷の服裾には、水無の靴から飛んだ雨水がまだら模様をつくっていた。
「別にいーじゃん。ジャージくらい」
桐谷は上下黒のジャージ姿。
汚れたって別に構わないだろう。
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