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別れよう。
雨の日の昼下がり。
君から、一件の通知。
唐突で、状況を飲み込むのに時間がかかった。
別に、僕らに何か問題があったわけでないのに。
お互い、好きなはずなのに。
僕だって、なにか不満があるなら治すのに。
気持ちは堂々巡りしていて。
でも時間だけは緩やかに流れていて。
今から、家行くね。
また彼女からの、LINE。
それに返信することができなかった。
椅子に座り、ひたすら彼女を待った。
かちゃん、鍵を開ける音が鳴る。
「、、、。」
彼女は、さしていた傘を閉じて、傘立てに立てかける。おたがい、黙ったまま。
「あがって。」
僕がそう言うと彼女は靴を綺麗に揃えて並べ、家にあがった。
彼女は、ソファに座った。
僕は、その隣に座った。
黙って、ついていないテレビの画面を見つめていた。
「別れよう。」
別れよう、と。彼女は、はっきり口に出した。
「、、、。」
「別れたい。」
僕が黙ったままでいると、彼女はさらに畳み掛けてきた。
冷たいフローリングの床に足をつけた。
なぜだか、寒さを感じなかった。
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