春人side

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春人side

「ねぇ、桜の匂いって知ってる?」 桜を見上げていたら後ろから突然声をかけられた。後ろを振り向くと僕と同い年ぐらいの髪の長い女の子がいた。 僕は首を傾げながら言った。 「桜に匂いなんてあるの?」 女の子はふふっと僕をバカにするように笑って、桜を見上げた。 「桜もお花なんだから匂いぐらいあるよ。その匂いって、リラックス効果とか、咳止め効果とかあるらしいよ。だから、桜の匂い嗅いでると君の病気治っちゃうかもね」 そう言って、女の子はすぐ後ろにある病院へ歩いて行った。 「ちょっとまってよ。なんで僕の病気のこと知ってるの?」 そう僕が聞くと女の子は振り向いた。にかっと笑って何も答えず、すたすたと歩き始めた。
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