春人side

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ふと病室の大きな窓を見るとさっき見上げていた大きな桜の木があった。風でゆらゆらと揺れているが花びらは散っていない。 もう満開になった桜。一瞬で散ってしまうから面白くないし、この病院に僕と同い年ぐらいの子供はいないからいつもつまらない毎日を過ごしていた。 「おとかちゃんは何歳なの?」 僕はおとかちゃんに問いかけた。 「八歳だよ!!」 「一緒だ!僕も八歳!」 つい声を大きくして喜んでしまった。ほかの子供たちは僕より五歳ぐらい年上か年下で、おとかちゃんみたいな子が来るのは珍しかった。  するとおとかちゃんは僕の手を引っ張りおとかちゃんのベッドへと歩き出した。 「一緒に漫画読も!お家からたくさん持ってきたの!」 おとかちゃんは僕の方を振り返りながらそう言った。
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