私は犬である。

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 今では、彼らにとって私が部屋にいるのが当たり前のようで、いない時があると、 「わんわん、どこぉ?」  などと言いながら家中探し回る。この日の私は、縁側で日向ぼっこをしていた。私を見つけた坊たちは、 「わんわん、いた〜🎶」  と嬉しそうに駆け寄ってきて、難なく私を持ち上げた。引きずるのが精一杯だった赤子の頃から数年しか経っていないというのに、その成長ぶりには目を見張るほどだ。それから定位置に私を降ろし、それぞれの遊びへ戻っていく後ろ姿にも成長を感じる。背が伸び、できることが増え、一日一日と、彼らは大人へと近づいていくのだ。  彼らを見守る家族は、 「わんわん見つかって良かったねぇ」  と朗らかに笑っていた──  何気ない日常。とりとめのない話のような、ゆるやかに流れていく日常が、私には何よりも愛おしく感じられる。  この陽だまりのような家族といつまで共にいられるかわからないが、私がここで生き続ける限り、愛する者たちの笑顔を、この光景を、魂に記憶していこうと思う。
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