占いとは当たるものらしい

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当たり障りのない紺スラックスと白ブラウス、髪は適当にひとつ括りにしただけ。 仮に気になる人とやらがいたとしても、こんな私に急接近などありえないのだ。 満員電車に揺られ、今日も出勤する。 これさえなければ休みなしで働いてもいい……とまでは言わないが、それほどまで苦痛な時間を過ごし、会社最寄り駅で降りた。 「おはようございます」 駅を出たところで声をかけられ、振り返ると課長が立っている。 ほんの三十分ほどとはいえ苦行を終えたあとだと、課長の爽やかな笑顔が心に染みた。 「おはようございます」 挨拶を返し、一緒に歩きだす。 たまたまだと思うがこのところ、課長遭遇率が高い。 「あの、今日の『松菱(まつびし)』さん訪問の件なんですけど」 「はい」 話しかけられ、課長の顔を見上げる。 女子としては平均的な身長の私と、男性としてはだいぶ背が高いほうの課長では、かなり上を見なければいけない。 「三津屋(みつや)さんも一緒に来てもらえませんか」 「えっと……」 あの件の発案は私だが別のプロジェクトに移ることになったため、後輩の男性社員に引き継いだ。
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