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だから私は無理矢理自分を納得させたのに、この人は。
「それじゃあ僕は、三津屋さんの手に取り戻してやりますよ」
課長の目には強い意志がこもっている。
それを見て、喉がごくりと音を立てた。
「……できるんですか」
「できないことは言いません。
それに僕だってあの日、部長の決定を覆せなくて悔しかったんですから」
部長の提案を課長は受け入れたんだと思っていた。
でも、本当は反対だったんだ。
「ありがとう、ございます」
プロジェクトを外された日から抑え込んでいた感情が溢れてくる。
潤んだ目を見られたくなくて、俯いた。
「僕は、別に」
私の頭を、課長が軽くぽんぽんと叩く。
それがなぜか、嬉しかった。
「そうだ。
なにかお礼、お礼をさせてください。
って、まだ決まってないのに気が早いですが」
ここまでしてもらってなにもしないのは気が済まない。
じっと彼の顔を見て返事を待つ。
「あー……。
三津屋さんとキス、したいです」
「は?」
間抜けにも一音発したまま固まった。
キスしたいって、誰と?
私と?
いやいや、きっと冗談……。
「キス、していいですか」
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