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第9話 転生の空間、女神アルティナ
───そしてふと瞳を開かせる私。
立っている場所は、それは異空間。夜のようで夜ではない。一面を眺められるような広大な景色、星が大空をキラキラと輝かせ、地面はガラス張りのような、湖のように白銀に煌めいている。
この景色を見ていたら怖いと言うより、懐かしい気持ち。しかし、分からない事がある。私はさっき、仕事を終えてベッドで寝ていた。なのに、この場所はなんだろうか。
「ここは一体、何なの?」
私、山村真美(やまむらまみ)は辺りを見て眺める。至って黒髪ショート、23歳の普通の派遣のOL。そして衣装は事務のスーツ、下はスカート。
何で仕事服を着ているのか………。そんな不思議な感覚になるが、私は辺りを眺めながら歩く。
────そして立ち止まる。
それはこの異空間の最奥の果て。いるのはイスに座った女の人がいた。衣装は聖なるを意識した神官のコート。
「あら、ようこそ」
女の人は言った。
「あの、ここは?それにアナタは?」
山村真美(やまむらまみ)は尋ねる。女の人は、1、2、3秒と経過してから口を開く。
「私は、女神アルティナ。この異空間において、死んだ人を異世界に転移や転生を斡旋する管理者よ」
女神アルティナの言葉に、山村真美(やまむらまみ)は青ざめた表情を浮かべ、声を震わせる。
「死んだ人を異世界に?って言うことは、私は死んだの?」
尋ねる私。女神アルティナは少し上向きになり、口を開く。
「うーん、死んだと言うか。状況的に説明すると、まず前世にてアナタの存在は忘れられている状況になります」
「えって、私は何でこんな場所に連れて来られたの?」
「これは、アナタが運が良かったからですね。本来的なら事故で死んでからなのですが、アナタの場合、この世界からいなくなりたいと言う気持ちがあり、それにお応えしただけです。まずは当選、おめでとうございます」
女神アルティナはパチパチと拍手してくる。
「あまり嬉しくは………突然の事でなんとやら」
山村真美(やまむらまみ)は腕を組み、悩む。
「どうしますか?アナタがこれまで貯金しておいたお金から、色々と能力を選べますよ」
「能力?」
「はい、例えばチートの魔法や剣術。後は異世界で色々な殿方とイチャイチャしたり、後は………」
「………私は、ただ領地貴族の子供に産まれてスローライフを送りたい。それだけです」
「それだけですか?では………」
女神アルティナは、光のシャワーを山村真美(やまむらまみ)に浴びせる。
「何をしたの?」
シャワー浴びせられ、彼女に与えられたのは魔力。それは物語において、重要な役割だから。そして、山村真美(やまむらまみ)は異世界に転生する。
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