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第10話 前世の記憶、女神の力
───アナタに与えたその光。それは転生した世界にて、重要な役割を持っています。その光は力となり、今後の未来を紡いでいくでしょう。それでは、良い異世界転生生活をお祈り申し上げます。
輝く光の中、女神アルティナの声が響かせ、そして吸い込まれるように白銀の世界が広がるのである………。
───そして転生先の異世界生活にて色々あった私は、ただいま大変な状況に陥っていた。
「ダメ………このままでは」
身体が氷結したように動かない………。アリエルは全身を漆黒の闇が侵食していた。まるで全身は漆塗りのように。
───フッハハハハ。このまま妾の奴隷となるが良いっ!!
漆黒の書物は輝きを放ち、高々と笑いかける。
「誰がアナタの奴隷になんて………」
アリエルは、漆塗りの状態の全身に抵抗するように片腕を上げる。漆塗りでカチコチに固まった全身、しかし意識を失わないように視線を漆黒の書物に定める。
───フッハハハ、妾に抵抗するか?もっと抵抗するとよいっ。
抵抗する人間を気に入り、漆黒の書物はケラケラと嘲笑う。
「私に、そんな趣味は無いってのっ」
苦悶の様子を浮かべるアリエル。
───その意気、ますます気に入った。抵抗がある者があるほど、奴隷にし甲斐があるっ!!さて、貴様を奴隷にしたらどうしてやろうか。
漆黒の書物は企む。
………異世界に転生し者よ、今こそ力を発揮する時です。
「誰?こんな時に?」
アリエルの心の中に何者かの声が響き渡る。さらに声は、この時を待ち受けていたかのように詠唱される。
汝、転生の女神アルティナ。この者に破邪顕正、退魔、守護を授けん………。
「転生の女神アルティナ?」
アリエルはふと、何かを思い出す。汝がソナタに与えた魔力は今後の物語に影響を与えるだろう………。それは、自身がこの世界に転生する時、女神アルティナに魔力を授かった話だ。何せ前世の自身が女神とのやり取りをしていた過去、まずは思い出す事は不可能だ。この状況に陥った時、思い出すと同時に力を発揮する仕掛けになっていた。
───すると、アリエルの右手に光の書物が出現し、パラパラとページが輝き、開く。
───何だこの光は?
漆黒の書物は突然、現れた光の書物に震え上がる。どうやら、漆黒の書物にとって、光は脅威となる。
アリエルは頭の中に浮かび上がる呪文を唱える。
「魔よ、汝に隷属せよっ!!」
アリエルが右手をビシッと掲げて唱えると、漆黒の書物に聖なる光が支配した。聖なる光は爆発するかのように、部屋全体に閃光を発揮する。
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