第12話 魔王に手当されるアリエル

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第12話 魔王に手当されるアリエル

「ええっ?………」  アリエルは困惑していた。ただ目の前の状況に………。 「のらぁ~~~のらぁ~~~」  べりある。という少女は、まるで小動物のように抱きついていた。これがさっきまで私自身に恐怖に陥れようとした魔王なのか、帝国を滅亡まで追い詰めた災厄か。と、疑いたくなる。  さっきの光景が頭から離れない。アリエルはべりあるをじぃ~と、観察する。もしかしたら油断したところで。と、考えているかも知れない。 「のら?」  べりあるは、じぃ~と無垢な視線を向ける。見た目はかわいい幼女。額から2本の角が生え、八重歯。けど正体は魔王、緊張する私。 「私の名前は、アリエル」 「あり………える?」  私を見つめるべりある。 (って言うか、ちょっとかわいいじゃない………)  べりあるに少し、キュンとなる私。見つめられると、心を奪われそうになる程、かわいい。同性の幼女相手に、私は何を考えているのか。  じぃ~〜〜〜………。 「うわっ!!」  べりあるに至近距離で見つめられ、ビックリする私。いきなりだからクローゼットにドンっと頭をぶつけ、頭を押さえて悶える。 「ありえる、だいじょ〜〜〜ぶ?」  べりあるは心配な様子で尋ねる。 「イタタタっ………」  アリエルは、ぶつけた頭を手で押さえる。押さえてた手から生暖かい(何か)が額からアゴに賭けて滴る。そしてチクチクとした痛感が行き渡る。 「ありえる、ちいっ」  べりあるは声を張り上げ、指摘する。 「あちゃっ………角に当たったのかな?」  アリエルの頭から滴る血、床にポタポタと流れ落ちる。言うまでもなく、クローゼットの角の部分に頭をぶつけて切ってしまった。仕方ないから救急箱で包帯で応急処置をするしか。   「ありえる、うごかないで」  べりあるは言う。  アリエルは思わず従う。そしてべりあるは出血しているアリエルの頭の傷に、優しく手を当てる。その手の感触は、優しくて何処か懐かしく温かい。  沈黙する2人、アリエルは押さえてた頭を手で触れて確かめる。 「血が、止まってるわ………」       驚くアリエル。さっきまで流れていた血がカサカサになり、傷跡がキレイに消えている。多分、治癒の魔法を使っただけ、魔王となれば容易い。 「ありえる。もう、だいじょーぶ?」と、見つめるべりある。 「あ………ありがとう」  アリエルは、べりあるの優しさに戸惑いつつ、緊張しながら感触の言葉を述べる。べりあるは魔王、気を損ねると何をするか分からないから緊張してしまう。 「ありえるぅ〜〜〜〜」    べりあるはアリエルに抱きつき、スリスリと頬擦り。  
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