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第14話 起きたべりある、これから町に
すぅ~~~すぅ~~~すぅ~~~………。
食べ終わった皿を引き下げる使用人。一方、会食室では食後によりべりあるはスヤスヤと寝ていた。食後、眠たくなるのは魔王も人間もないらしい。
アリエルはイスに座り。
「寝ている姿は、可愛いんだけど………」
隣に座るアリエルは、べりあるの髪や頬を撫でる。本当に言えば、可愛い。
「こうしてみると、昔のアナタを思い出すわね………」
ルナはべりあるを愛おしく眺める。
「私、小さい頃もこんなに食べないわよ」
「そんな事ではなくて、小さい頃のアナタはたくさん遊んで、勉強して、そして疲れて帰ってきて寝て………何と言うか貴族らしくなかったわ」
「悪かったね、貴族らしくなくて………」
ムスっとなるアリエル。そう言えば私、貴族なのに使用人はあまり使わない。小さい頃は家から勝手に抜け出してどっかに遊びに行ったり、でも勉強は怠らない。
「怒らないの………。けど、こんなに家の中が賑やかになったのは何年振りかしら?」
と、ルナは何処か嬉しそうな表情。
「確かに、私の小さい頃は町が活気に満ちていたから………あのさ、町の状況なんだけどさ………」
「うん、人が減って、このままだと領民が路頭に迷う事になるわね………アナタが皇族に婿入りしたから経済効果を期待していたけど………変わらなかったわ」
すると、アリエルが立ち上がり。
「私が、何とかするからっ!!昔みたいに、希望に満ちていた町を、取り戻して見せるからっ!!」
アリエルは母親に気持ちをぶつける。何故なら私は、この町が好きだから。いつまでも希望に満ちていて、輝いていて欲しいから。
「あら………」
ルナの視線の先、いま起きたべりある。寝ぼけ眼で、未だに状況が理解出来ない。
「べりあるちゃん………」
「ありえる、出掛けるの?」
べりあるは尋ねる。
「お姉ちゃん、ちょっと町にね………」
と、アリエルは言った。これから町に行って色々と視察に向かうつもりだ。町の活性化の第一歩を進めるために。
───じぃ~~~~………。
べりあるは、無垢な眼でアリエルを見つめてくる。この視線は、私を町に連れて行って欲しいと言う熱意である。
「えっと………」
べりあるによる無垢な視線に、頭をポリポリと掻いて困惑するアリエル。この視線、同性の私でも可愛いんだけど………。
───じぃ~~~~………。
「アリエル………」
ルナは視線を向ける。彼女の気持ちを察しなさい。と………。
「………その、アナタも行く?」
アリエルの言葉に、べりあるはブンブンと、首を縦に降る。
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