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第15話 町を視察するアリエルとべりある
時間帯は昼過ぎ。
───そして館を抜け、私はべりあるを連れて歩いていた。場所は町のメインストリート、目的は町の視察。これから私はこの町をかつてのように活気を取り戻し、輝かしい風景と人々を招き入れたい。
「でぇーと、でぇーと。お姉さまとでぇーと」
べりあるはアリエルと手を繋ぎ、ニコニコと喜びながら歩く。
「デートって………何処で覚えたのかしら?」
べりあるのセリフにアリエルは困惑。まぁ良いわ、喜んでくれているみたいだし。
───そして、視線の先に広がるのは白色に外壁塗装された空き店舗や空き家、あとは住んでいるかどうか分からない建物の数々が建ち並び、ちらほらと行き交う通行人。出来ればこの子には見せたくはないのだか。
「誰もいないねぇ~~~」
やっぱり恐れていた事が………べりあるはこの風景を見てハッキリと良い放つ。
「ハハハハハ、そうだね………」
アリエルは苦い笑みの表情を浮かべる。この町の現状をハッキリと指摘してくれたのだから。何か、自分の短所を言われたみたいで、心に結構グサリと突き刺さる。この子は悪気があって言っては無いのだけど、何だろう?何故か涙が出てくる………。
すると、そこに歩み寄ってくるおばさんがいた。
「あら、アリエルちゃん。その子は誰かしら?」
マリーおばさんである。
「あー、少し訳がありまして………」
マリーおばさんの質問にアリエルは額から汗を流して困惑しつつ、頬を指でポリポリと掻いて答える。さて、どう説明しようかな………と、考える。けど言うまでもなく、本当の事は絶対に説明できない。正体が帝国の国家機密であり、帝国を滅亡の危機に陥れた魔王であり、封印された状態から復活したのだから。
べりあるはツンツンとマリーおばさんの肩をつつき、視線を合わせる。
「ありえる、べりあるのオネーさまっ」
べりあるは嬉しそうな表情で言った。
「あら、オネーさまだって。おもしろい女の子だね?」と、マリーおばさんはクスクス。
「ハハハハハ、そうなんですよぉ~~~」
マリーおばさんはセリフに、私は下手な演技のような棒読みの笑い。
───それから、軽く会話し。
「じゃあ、べりあるちゃん。アリエルちゃんもバイバイ」
マリーおばさんは、2人の前から立ち去る。
「マリーおばさん。バイバイ~~~」
べりあるはマリーおばさんから貰ったペロペロキャンディーをなめる。ちなみにマリーおばさんには、べりあるは外国にいる父上の友達が事業で忙しいから預けられた子だと説明した。
───そして、アリエルはべりあると一緒に町の散策を再開するのである。
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