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第7話 魔王ベリアル
───そして、私は部屋に向かう。参考書や帝国歴史の書物が整頓された本棚とベッド。後は衣類が入ったクローゼット。あとは机とベッドから外を見渡せられる窓。室内は定期的に清掃されていたのか、ホコリ1つもない。自慢ではないが、うちは田舎ではあるが貴族。使用人は複数名は勤めている。
アリエルはカバンを開き。
「この部屋に帰って来たのは1年振りね………」
部屋中を名残り惜しく眺め、カバンから荷物を取り出す。最低限の衣服や書物。さらに机の上に領地運営などの為、書物を取り出す。
さらにカバンから荷物を取り出す私。短かった新婚生活から授かった色々なモノ。とはいっても、帝都で販売していたブレスレットやぬいぐるみ、魔力が宿る指輪とか。ま、使う事は無いけど………。
────すると、カバンからある書物を取り出す私。その書物は不気味に広がる暗黒。見ていたら呪われそうなくらい。
「あれ?こんなモノ、私入れたかしら?」
私は漆黒の書物を両手で持ち上げ、ジロジロと観察する。よほど古い書物なのだろうか、題名は掠れていて全く読めない。
────そのとき、漆黒の書物は漆黒の輝きと雷流をバチバチと放ち、アリエルの手元から飛び出し、空中で止まる。
「ななななな………なにこれ?」
アリエルはただ、空中浮遊する漆黒の書物を見てビックリするしかない。
フハハハハハ、よく妾を忌まわしき城から出してくれて感謝するぞ人間よ………。
「何これ?アナタは何者?」
妾はベリアル、憎き帝国のアルゼイドに封印され、そして復活を成し遂げた魔王だ………。
────逃げなくちゃ。
アリエルは逃げようと扉の前に視線を向ける。
───無駄だ………。
漆黒の書物と言う名の魔王ベリアルは、魔法を発揮。
「なっ………」
魔法により、アリエルは金縛りにより動けない。指一本や足すら、動けない。例えるなら自身が石になった感覚だ。
───まずは復活させてくれた恩として、貴様は妾の奴隷にさせてやろう。殺さないだけ、感謝するとよいぞフハハハハハ………。
漆黒の書物と言う名の魔王ベリアルは、高笑いを響かせる。
「だっ………誰か助けて………」
アリエルは金縛りのまま、助けを求める。
───教えてやろう、貴様が1年間前、宮殿にある封印の間に来ただろ?。そこに来た貴様の魔力と封印させた状態の妾の魔力と相性が良かったから、乗り移ったのだよ。
「まさか、あの場所が?」
金縛りにより、動けないアリエル。そしてアリエルは1年前、まだアルゼイドの次男ケビンとの婚約者だった頃。その時の出来事を思い出す………。
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