第98話 視察に同行するヨシュア

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第98話 視察に同行するヨシュア

 アリエルはティトのおじさんの出店を後にし、再びメインストリートを歩く。  アリエルは食後、思い浮かべる。ティトのおじさんが作った新作のサツマイモのシフォンケーキはとても美味しかった。口に入れたら生クリームと、しっとりとしたサツマイモの風味が広がり、今までのない甘さだ。けどやっぱり私は小さい時からの馴染みのサツマイモのまんじゅうが好きである。 「さてと、視察、視察と………」  アリエルは軽く腕を伸ばし、メインストリートをフラフラと歩きながらストレッチする。領地を営んでいる者の身として、町や郊外にいる領民の人達の意見は大事にしないといけない。 ───民なくして、領主は成り立たない。  これは先代たからの言い伝えであり、父や母はそれを守って来た。  すると、目の前から歩いてくるヨシュアと遭遇した。 「アリエルさん」と、アリエルを見つけたヨシュアは呼び掛ける。 「あら、ヨシュア君。学校は終わったの?」  ヨシュアに、アリエルは尋ねる。 「はい。今終わったところです」  そうなんだ。アレっ………と、アリエルは軽く異変を感じて、再び尋ねる。何故なら。 「べりあるちゃんは?」  アリエルの問いに、ヨシュアは言う。 「べりあるさんなら………学校終わりに、ミラとローラ、エミンさんと言う人達と遊びに行ってしまいました」  アリエルはやっぱり………あの子は奔放だからね。と、微笑む。あの子は、ミラとローラ、エミンはべりあるの友達だから。 「アリエルさんは、これから何処へ?」  と、ヨシュアは質問。 「町の視察に行くのよ。町で暮らしていくのに何か困ってないか、規制をするべきか、ここを色々と治して欲しいところを聞きに行くのよ………」  私は答えた。アリエルの答えに、ヨシュアは言う。 「その視察に、僕も同行させてもらえませんか?」 「ええっ?………」  ヨシュアの言葉に、私はビックリしてしまう。彼の向上心ある視線に、私は思わず言葉を失ってしまう。 「もしかして、迷惑ですか?」  ヨシュアは困った様子を浮かべる。  しかし………彼はあのデビット宰相の息子、がっかりさせる訳にはいかない。若い頃の苦労は買ってでも、すべき。  ここはあえて。 「いいわよ、行きましょうヨシュア君」 「はい」 ───そして、アリエルとヨシュアは視察に行くことに………。未来の帝国の指導者になる為、まずは領地運営を勉強させるべきだと、私は判断した。ここにデビット宰相がいたら、是非とも勉強させて貰いなさいと言っているだろう。学校でする一般的な勉強より、政治的な勉強も大事だ。    
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