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「坊!!坊!起きよ!」
じいちゃんの声に飛び起きる。場所は寝たままの場所。多目的トイレ内。薄暗いが光が指している。朝のようだ。
「じいちゃん?どうした?」
「ガラガラ聞こえて飛び起きたんじゃがの。まずいぞゾンビどもが集まってきとる。幸いまだ道路を歩いておるがこちらに来やんとも限らんぞ。出れる準備しとけ。」
「あい。」
自分のリュックを背負い直し、じいちゃんの下に潜り込み、スライドドアの隙間から外を覗く。
「・・・道路を町の方からゾンビが歩いてきた?」
「うむ。ほんの少し前に一台車が走り去って行きよった。それに釣られて追いかけてきた連中じゃろうがこんなところで見失いおった。」
「それで集まってるんか。どうする?」
「軽トラは直付けにしとるから乗り込むのは簡単じゃがのう。下手に動けば囲まれて車が動かんくなるぞい。」
「うーん・・・、あれ使うか?」
「うむ?土産物コーナーからもらってきたあれか?」
「そう。じゃんじゃかぬいぐるみ。こっそり乗り込んでポイポイ遠くに投げていって囲みが減ったら走り出すん?」
「そうじゃな・・・。そうするか。よし善は急げじゃ。まだ距離があるうちに乗り込め!」
「あい!」
二人でそっとドアを開き、僕は助手席へ。じいちゃんは荷台からじゃんじゃかぬいぐるみ3つを運転席に持ち込み、銃のスタンバイ。それを見て耳栓を詰める。
「スイッチ・・・オンじゃあっ!!」
放物線を描いて放られたゴリラのぬいぐるみは道路脇の排水溝へと転がり落ちた。
少しして鳴り出さないゴリラ。
「・・・じいちゃん?」
「すまぬ。電池入れておかんかった。」
「だー!もうっ!!」
慌てて荷物を漁る孫、鉄砲を構える爺。投げるときの声に惹かれて集まり出すゾンビども。
だんっ!!
響く銃声、同時に崩れ落ちるゾンビ2体。
「そ、そういや遊園地のは展示品じゃったからの!」
だんっ!
さらに2体。
「あったぁ!!じいちゃん撃つのやめて!」
素早く電池をはめてスイッチを入れて、投擲。幼子の力では遠くまでは投げられないがそれでも。
じゃんじゃかじゃんじゃかじゃんじゃかじゃん
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