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その洞窟は『光花洞窟』と名付けられていて、村人たちから沢山のお供えものをもらっていた。
ハナは今でも村での生活を思い出すことがあったけれど、戻りたいとは思わなかった。
だって……。
「お母ちゃん!」
洞窟内で山菜を選り分けていたハナに小さな影が走り寄ってきた。
その子は腰に布を撒いただけの姿で、頭には2本の小さな角が生えている。
目はくりっとして大きく、ハナによく似ていた。
「花を積んできたよ!」
男の子は両手いっぱいに野花を抱えていて、それをハナに差し出した。
「あらこんなに沢山。ありがとう」
花を受け取り匂いをかぐと、また春がやってきたのだと感じる。
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