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どうにか気持ちを鎮めようとしても難しく、つい大きく息を吐き出したしまった。
そのときだった。
「誰かいるのか」
野太い声が聞こえてきてハナは身を縮めた。
今の声は誰?
村人たちの声を思い出してみても該当する人物は思い浮かんで来ない。
聞いたことのない男の声だ。
「この中に誰かいるのか」
この中というのは樽の中で間違いないだろう。
では、さっき聞こえてきた足の主だろうか。
この人に頼めばこの樽から出ることができるかもしれない!
相手が誰かわからない不安はあるものの、樽の中にいれば数日で死んでしまうことは確実だ。
ハナは勇気を振り絞って「ここにいるわ!」と、声をあげた。
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