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ベリベリと音を立てて、穴の開いた蓋は簡単に剥がれ落ちていく。
この男が素手で蓋を壊したのだと気づいた時、ハナは一瞬寒気を感じた。
いくら内側から叩いてもびくともしなかった蓋を、この人は道具も使わずに破壊したのだ。
その怪力に恐怖を懐きながらも、ハナは無理やり微笑んだ。
この人は命の恩人になる人だ。
あまり怯えているわけにもいかない。
すっかり蓋が壊されてしまった樽の中から、ハナは恐る恐る立ち上がった。
「なんだお前、どうしてこんなところにいる」
男が不思議そうな顔でハナの顔を覗き込む。
男の頭に黒い角が2本生えていることに気がついて、ハナの顔から笑顔が消えた。
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