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「ありがとう」
男はしわがれ声で礼を言い、また床に臥せってしまった。
青白い顔をして目を閉じる父親を、ハナは心配そうに見つめている。
「どうしよう武雄。このままじゃお父さんまで……」
そこまで言ったハナの目にはすでに涙が浮かんできている。
実はハナの母親は先日父親と同じ病で亡くなったばかりなのだ。
今ハナが暮らしているでは今までに経験したことのない風邪が流行っていて、1度かかってしまうと翌日には熱を出し、そのまま寝込んでしまうことが多かった。
それによっての死者は今増え続けている。
まだ若いハナの父親が随分とふけてみえるのは、その病気のせいだった。
「大丈夫だよ、ハナ……」
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