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あぐらをかいて座っているけれど、十分に大きい。
全体的に筋肉質で触れるだけで怪我をしてしまいそうだ。
ただ両親から聞いた話と違っているのは肌の色だった。
鬼の肌は真っ赤だったり、真っ青だったりすると教えてもらっていたけれど、今目の前にいる鬼の肌は村人の男たちと大差なかった。
日焼けして浅黒くなっているが、人の肌だ。
「食べるか?」
なにも言わないハナに鬼が魚を差し出した。
それは川魚のイワナに枝を突き刺して、香ばしく焼いたものだった。
ハナは咄嗟に左右に首を振ったけれど、いい香りがしてきてお腹がグゥと音を立ててしまった。
思えば今日は朝からなにも食べていない。
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