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「しばらくはここで一緒に暮らしたりもした。だけど人間は弱いな。特に子供は。すぐに病気にかかったり、野生動物に襲われたりして、ダメだった」
鬼の視線が下を向く。
揺れる炎をジッと見つめるその目は、まるで人間そのもののように見えてハナはとまどった。
「だいたい。俺と人間じゃ寿命が違いすぎる。一緒にいたって、先に死ぬのは人間だ」
「あなたは何歳なの?」
「今年でちょうど千歳だ」
「千年も生きているの!?」
驚いて声を上げると鬼は楽しげな笑い声をあげた。
笑うとエクボができることをハナは知った。
「そんなに驚かなくてもいい。鬼の世界じゃまだまだ若い方だ」
「そうなんだ……」
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