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「だって、私は生贄だから。村人たちは私があなたに食べられると思っているはずだし」
「俺は人間は食べないと言っただろう」
そう言われて昨日の光鬼とのやりとりを思い出した。
確かに光鬼は人間は食べないと言っていたけれど、それはハナを油断させるためだと思っていた。
まさか、自分の命が今日もあるなんて思っていなかったのだ。
「じゃあ、本当に食べないの?」
光鬼は度重なる質問にムッとしたように眉根を寄せた。
そうするとさすがに貫禄があって、ハナはたじろぐ。
「人間を食べる鬼も確かにいる。だけど鬼にも性格や好き嫌いってもんがあるからな。俺は食べない。」
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