洞窟の生活

10/13

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
「だって、私は生贄だから。村人たちは私があなたに食べられると思っているはずだし」 「俺は人間は食べないと言っただろう」 そう言われて昨日の光鬼とのやりとりを思い出した。 確かに光鬼は人間は食べないと言っていたけれど、それはハナを油断させるためだと思っていた。 まさか、自分の命が今日もあるなんて思っていなかったのだ。 「じゃあ、本当に食べないの?」 光鬼は度重なる質問にムッとしたように眉根を寄せた。 そうするとさすがに貫禄があって、ハナはたじろぐ。 「人間を食べる鬼も確かにいる。だけど鬼にも性格や好き嫌いってもんがあるからな。俺は食べない。」
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加